YouTubeチャンネルが乗っ取られた!名前の書き換え・暗号資産の配信・動画削除から取り戻す手順と予防設定
- 24分で読める
- 一次資料13件
- セキュリティ図鑑編集部
YouTubeが案内する復元の流れ
アカウント→チャンネル→全員で対策サポートで扱える乗っ取りの期間
データ保持ポリシーによる(YouTubeヘルプ)クリーンアップの審査を編集できる期間
不承認にした変更は戻せない2025年7月の不正ログインの相談
IPAの安心相談窓口。これまでで最多SUMMARY
要点をまとめると
- 01
YouTubeチャンネルの乗っ取りは、まずチャンネルにつながるGoogleアカウントを取り戻し、YouTube Studioのクリーンアップツールか手動で名前・動画・権限を元に戻します。
- 02
案件メールのファイルを開いたなら、Cookieを盗まれた可能性があるため、パスワード変更の前にマルウェアを除き、覚えのない端末をログアウトします。
- 03
サポートは過去9か月以内の件が対象です(2026年10月31日時点)。
そもそもCookieの盗難(パス・ザ・クッキー攻撃)とは?
ブラウザがログイン状態を覚えておくためのデータ(Cookie)を盗み、パスワードを使わずに他人のアカウントへ入る手口です。
たとえるなら家の鍵ではなく、「入館済み」の腕章を盗んで建物に出入りするようなもの。合言葉を変えても、腕章が生きている間は入られてしまいます。
- 1マルウェアを開かせる案件メールの偽ソフトなど
- 2Cookieを抜き取るログイン中の状態を盗む
- 3本人になりすますパスワードなしでチャンネルを操作
Googleの脅威分析グループ(TAG)の報告をもとに、やさしく言い換えています。
この記事をスライドで理解する(7枚)
1 / 7自分たちのYouTubeチャンネルの名前が、知らない会社の名前に変わっている。見覚えのない暗号資産(仮想通貨)のライブ配信が流れている。これまで投稿してきた動画が消えたり、非公開になったりしている。会社やお店の公式チャンネルでこれが起きると、お客様がだまされるおそれもあり、焦ってしまいます。ここでは、チャンネルを取り戻すまでの流れを順番にまとめました。
中身は、YouTubeヘルプ、Googleアカウントヘルプ、Googleの脅威分析グループ(TAG)、警察庁、IPA(情報処理推進機構)の公式ページを2026年10月31日時点で確かめたものです。画面の名前やボタンの位置は変わることがあります。見当たらないときは、各ヘルプの最新の表記を確かめてください。Googleアカウントそのものの取り戻し方は別の記事の担当なので、ここでは1〜2文で触れるだけにし、YouTubeチャンネルのことに絞ります。
01この記事でわかること(3行まとめ)
会社のYouTubeチャンネルが乗っ取られた!何からすればいいの?
まずチャンネルにつながっているGoogleアカウントを取り戻します。案件メールのファイルを開いた心当たりがあれば、その前にパソコンを調べてください。
チャンネルはアカウントにつながっている
Cookieを盗まれると入られることがある
そのままだと永久停止のおそれ
- 最初にやるのは、チャンネルにつながっているGoogleアカウントを取り戻すことです。YouTubeヘルプは、復元を「Googleアカウントの復元」「チャンネルの変更を元に戻す」「関わる全員で安全対策」の3段階で案内しています。
- パスワードを変えるだけでは足りないことがあります。Googleの脅威分析グループは、パスワードなしでアカウントに入れる「Cookieの盗難」を使ってクリエイターが狙われたと報告しています。パソコンのマルウェアを先に取り除き、ログイン中の端末を確かめます。
- 名前・ハンドル・プロフィール写真・バナーは早く元に戻します。YouTubeヘルプは、そのままだと商標権の侵害でチャンネルが永久停止されるおそれがあると書いています。
乗っ取りとは、他人があなたになりすましてアカウントを使うことです。言葉の意味はアカウント乗っ取りの用語ページ、ハッキング全体の話はハッキングのまとめで説明しています。
02YouTubeチャンネル乗っ取りのサイン:こんなことが起きていませんか
知らない会社名・ロゴになっていないか
暗号資産の配信、違反の通知メール
既存の動画の公開設定を確かめる
収益の受け取り先と管理者の一覧
YouTubeヘルプの「ハッキングされたYouTubeチャンネルを復元する」は、次のような変化をハッキングのサインとして挙げています。
- 覚えのない変更がある:プロフィール写真、チャンネルの説明、メールの設定、AdSenseの関連付け、送信済みのメッセージなど。
- 自分がアップロードしていない動画がある:その動画について、ポリシー違反を知らせるメールが届くこともあります。
- チャンネル名・ハンドル・バナーが別のものになっている:YouTubeヘルプは、ハッカーが最もよく変えるのは「アップロード」「チャンネルの権限」「チャンネル情報」だと説明しています。
- 既存の動画が非公開になっている:YouTubeヘルプのクリーンアップの手順には、ハッカーが既存の動画を非公開にしている場合がある、と書かれています。
Googleの脅威分析グループ(TAG)が2021年10月20日に公表した報告では、乗っ取られたチャンネルの一部は、大きなIT企業や暗号資産の会社になりすます名前に変えられ、暗号資産を「配る」とうたうライブ配信の詐欺に使われました。視聴者に最初の支払いを求める手口です。ほかに、アカウントの売買の場で、登録者数に応じて3ドルから4,000ドルで売られていたチャンネルもあったとしています。名前が別の会社名になり、暗号資産の配信が流れているなら、乗っ取りを強く疑ってください。
03気づいたら最初にやること:3つの順番
マルウェアを先に取り除く
パスワード変更か復元の手順
クリーンアップと全員への連絡
- マルウェアを疑い、パソコンを調べる:案件メールなどで受け取ったファイルを開いた心当たりがあるなら、そのパソコンでパスワードを打つ前に、ウイルス対策ソフトで調べます(理由は「パスワード変更だけでは足りないことがある」の節)。
- Googleアカウントを取り戻して守る:ログインできるならパスワードを変えてセキュリティ診断を行い、できないならアカウント復元の手順に進みます。
- チャンネルの変更を元に戻し、関わる人全員に知らせる:YouTube Studioのクリーンアップツールか手動で戻します。チャンネルの管理者や編集者にも、自分のアカウントを守るよう頼みます。
この順番は、YouTubeヘルプの3段階の流れに、Googleアカウントヘルプの案内を合わせたものです。慌てて設定を触る前に、上から順に進めてください。
YouTubeヘルプは、Googleアカウントの復元が終わっていないと、停止されたチャンネルの再審査が承認されない場合があるとしています。順番を逆にしないことが大事です。
04まずGoogleアカウントを取り戻す(ログインできる・できない)
YouTubeチャンネルは、Googleアカウントにつながっています。YouTubeヘルプも「まず、そのチャンネルに関連付けられたGoogleアカウントを復元する」ことから始めるよう案内しています。
- ログインできる場合:パスワードを変更し、セキュリティ診断(セキュリティチェックアップ)を行います。
- ログインできない場合:Googleのアカウント復元の手順に沿って、本人確認の質問に答えます。取り戻せたら、以前に使ったことのない強いパスワードを設定します。
- チャンネルの管理者がほかにもいる場合:その人たちにも、同じようにアカウントを守るよう依頼します。
Googleアカウント全般の取り戻し方(本人確認の進め方、再設定のコツなど)は別の記事の担当です。迷ったら被害にあったらのページの「アカウント乗っ取り」の場面から進んでください。
なお、乗っ取られた会社のチャンネルで、YouTubeを名乗る人から「パスワードを教えて」と言われても、教えないでください。YouTubeヘルプの「YouTubeクリエイター向けの安全に関するヒントとリソース」は、YouTubeがパスワードやメールアドレスなどのアカウント情報を尋ねることは決してない、としています。
05パスワード変更だけでは足りないことがある:Cookieの盗難とマルウェア
パスワードを変えたのに、また入られたのはなぜ?
Googleの報告では、ブラウザのCookieを盗んでパスワードなしで入る手口がありました。マルウェアを取り除き、覚えのない端末をログアウトするところまでやります。
マルウェアが残ると新しいパスワードも盗まれる
マルウェア除去・パスワード変更・端末のログアウト
「パスワードを変えたのに、また入られた」。そうならないために知っておきたいのが、Cookie(クッキー)の盗難です。Cookieは、ブラウザがログインした状態を覚えておくための小さなデータです。
Googleが報告した「パス・ザ・クッキー攻撃」
Googleの脅威分析グループ(TAG)は2021年10月20日、YouTubeクリエイターを狙ったフィッシングについて報告しました。要点は次のとおりです。
- 2019年の終わりごろから、マルウェアでCookieを盗む攻撃を確認し、止めてきた。
- 盗まれたのはブラウザのセッションCookieで、攻撃者のサーバーに送られた。TAGはこれを「パス・ザ・クッキー攻撃」と呼び、パスワードなしでアカウントに入れる手口だと説明している。
- 見つかったマルウェアの多くは、パスワードも盗めるものだった。
- 痕跡が残りにくい動かし方をしていて、セキュリティ製品に見つかりにくくしていた。
つまり、パソコンにマルウェアが入ったままだと、新しいパスワードもまた盗まれるおそれがあります。ログイン中の状態を覚えているCookieが盗まれていれば、パスワードを知らなくても入られることがあります。
公式が案内している、パスワード変更と一緒にやること
- 有害なソフトを取り除く:Googleアカウントヘルプの「ハッキングまたは不正使用されたGoogleアカウントを保護する」は、信頼できるウイルス対策ソフトの実行をすすめ、最後の手段としてパソコンを出荷時の状態に戻してOSを入れ直す方法も挙げています。その前に、必要なファイルをバックアップするよう注意しています。
- パスワードを変える:Googleアカウントヘルプによると、パスワードを変更・再設定すると、本人確認に使った端末など一部を除くすべての端末でログアウトされます。例外は、本人確認に使った端末、アクセスを許可した他社アプリが入った一部の端末、アクセスを許可したスマートホーム機器です。
- ログイン中の端末を確かめる:Googleアカウントのページの「セキュリティとログイン」>「お使いのデバイス」>「すべてのデバイスを管理」で、いまログインしている端末と、数週間以内にログインした端末が見られます。覚えのない端末は「ログアウト」を選びます。同じ端末名で複数のログインが出ているときは、別の端末のこともあるので、その名前のものはすべてログアウトするよう案内されています。
ウイルスやマルウェアの基本はウイルス・マルウェアの悩みのページとマルウェアの用語ページ、対策ソフトの選び方はセキュリティソフトの分類ページにまとめています。会社のパソコンなら、自分で消そうとせず、まず社内の担当者か保守会社に相談してください。
06YouTube Studioのクリーンアップツールで変更を元に戻す
Googleアカウントを取り戻したら、チャンネルの変更を元に戻します。YouTubeヘルプの「ハッキングされたYouTubeチャンネルをクリーンアップする」は、方法を2つ案内しています。1つ目がYouTube Studioのクリーンアップツールで、使えるのはチャンネルの所有者と管理者だけです。不審な動きが見つかったときだけ通知が出ます。
- パソコンでYouTube Studioのクリーンアップツールを開き、[審査を開始]をクリックします。
- 表示された変更のうち、自分で行ったものにチェックを入れます。すべて自分の操作なら[すべての変更は私が行ったものです]をクリックします。
- [次へ]をクリックし、[解決方法]でGoogleが行う措置を確かめます。
- [次へ]をクリックし、チャンネルにアクセスできる人を確かめます。必要なら役割を変えるか、アクセス権を削除します。
- [次へ]をクリックし、表示された追加の手順を済ませてから[送信]をクリックします。
YouTubeヘルプによると、変更は数時間以内に反映され、状況を確かめるリンクの入ったメールが届きます。通常、送信から30日以内なら審査を編集できます。ただし、承認した変更はあとから編集できますが、「自分ではない」として不承認にした変更は元に戻せません。チェックは落ち着いて付けてください。
ツールで済ませたあとも、YouTubeヘルプは次の点を確かめるよう案内しています。ダッシュボードで新しいコミュニティガイドラインの違反警告が出ていないか(出ていたらYouTubeに問い合わせる)、チャンネル名・ハンドル・プロフィール写真・バナー画像が勝手に変わっていないか、チャンネルが最近投稿したコメント、再生リスト・カスタムサムネイル・登録チャンネル、AdSenseとコンテンツマネージャーの設定です。
07手動で直すときの確認リスト
- 覚えのない動画:違反警告・著作権侵害の警告・著作権の申し立てのどれも付いていない動画は削除します。どれかが付いている動画は、YouTubeに調査を依頼します(YouTubeヘルプは、自分がアップロードしていない動画はすぐ削除するよう案内しています)。
- 知らないユーザー:YouTube Studioの権限で管理しているチャンネルなら、アクセス権を削除します。ブランドアカウントのチャンネルなら、ブランドアカウントからユーザーを削除します。
- チャンネル名:元の名前に更新します。更新できないときは、名前の翻訳が残っていないかを先に確かめます。
- ハンドル・プロフィール写真・バナー画像:元に戻します。
- 動画の公開設定:既存の動画が非公開にされていないかを見ます。
- 最近のコメント、再生リスト、カスタムサムネイル、登録チャンネル:覚えのないものがないか確かめます。
- AdSenseアカウントとコンテンツマネージャーの設定:収益の受け取り先などが変わっていないか確かめます。
上の一覧は、YouTubeヘルプの手動の手順を、確認の順番に並べたものです。クリーンアップツールの通知が出ないときや、自分で一つずつ確かめたいときに使います。
YouTubeヘルプは、名前やブランディングが変えられたままだと、商標権の侵害でチャンネルが永久停止されるおそれがあるので早く戻すよう書いています。乗っ取った人が有名企業の名前やロゴを使っていると、こちらのチャンネルが規約違反に見えてしまうからです。
もう一つ、YouTubeヘルプのよくある質問には「ハッカーを完全に締め出せたかどうか、YouTubeが必ず判断できるわけではない」という趣旨の説明があります。ツールで直したあとも、自分の目でチャンネルを見直してください。
08ブランドアカウントとチャンネルの権限:誰が何をできるかを確かめる
みんなで1つのパスワードを使ってたけど、まずい?
YouTubeはパスワードを渡さず、チャンネルの権限で役割を分けるよう案内しています。退職した人や外注先だけを外せるようになります。
すべての操作。役割は譲れない
権限の管理や動画の削除もできる
アップロードと公開。削除はできない
見るだけ。制限付きは収益も見えない
会社やお店のチャンネルは、複数の人で運営していることが多いはずです。乗っ取られたあとは、「誰が、どの役割で入れるのか」を必ず確かめます。YouTubeのチャンネルには、管理のしかたが2通りあります。
YouTube Studioの「チャンネルの権限」
YouTubeヘルプの「チャンネルの権限機能を使用してYouTubeチャンネルへのアクセス権を追加または削除する」によると、役割は次のとおりです。
| 役割 | できること(YouTubeヘルプより) |
|---|---|
| 所有者 | チャンネルの削除、ライブ配信やチャットの管理、権限の管理など、すべての操作。所有者の役割を他の人に譲ることはできない |
| 管理者 | データの閲覧、権限の管理、チャンネル詳細の編集、コンテンツの作成・公開・削除。チャンネル自体の削除はできない |
| 編集者 | データの閲覧、情報の編集、コンテンツのアップロードと公開。チャンネルや公開済みコンテンツの削除、権限の管理はできない |
| 編集者(制限付き) | 編集者と同じ。ただし収益データは見られない |
| 字幕編集者 | 対象の動画の字幕の追加・編集・公開・削除だけ |
| 閲覧者 | チャンネルの詳細と収益データの閲覧。編集はできない |
| 閲覧者(制限付き) | 閲覧者と同じ。ただし収益データは見られない |
確かめ方は、YouTube Studioの左のメニューで[設定]>[権限]です。知らない人や、もう関わっていない人がいたら、その人の[役割]の下矢印をクリックし、[アクセス権を削除]を選びます。送った招待は30日で期限が切れます。
ブランドアカウントで管理しているチャンネル
古くからあるチャンネルは、Googleの「ブランドアカウント」で管理していることがあります。Googleアカウントヘルプの「ブランドアカウントを管理する」によると、ブランドアカウントには必ずメインのオーナーが1人いて、オーナーは管理を手伝う人を追加し、それぞれがどこまで操作できるかを決められます。アカウントを削除できるのはオーナーだけで、削除や復元ができるのは、オーナーになって7日以上たった人だけです。YouTubeヘルプは、ブランドアカウントがある場合は、まず「チャンネルの権限」に切り替える必要があると案内しています。
YouTubeヘルプの「YouTubeクリエイター向けの安全に関するヒントとリソース」は、ブランドアカウントのオーナーと管理者は動画をアップロードしたり変えたりできるので、渡す相手を慎重に選ぶよう書いています。乗っ取りのあとは、オーナーと管理者の一覧に知らない名前がないかを、真っ先に確かめてください。
パスワードを共有している会社は、ここで切り替える
「担当者みんなで1つのGoogleアカウントのパスワードを使っている」という運用は、YouTubeヘルプの考え方と逆です。YouTubeヘルプは、チャンネルを共有するときはパスワードを渡さず、チャンネルの権限かブランドアカウントの権限を使うよう案内しています。権限にすれば、退職した人や契約が終わった外注先だけを外せます。YouTubeヘルプは、複数の管理者がいる場合は必要最小限のアクセス権にとどめ、YouTube専用のメールアドレスを使うこともすすめています。
09案件依頼メールを装ったマルウェアの手口
実在の会社を名乗るコラボ依頼
リンクやPDF・ドキュメントで
パスワードなしで入られる
売買や暗号資産の配信に悪用
YouTubeのチャンネルは、案件(スポンサー・タイアップ)の依頼を装ったメールで狙われることがあります。ここでは、Googleが公式に説明している範囲だけを書きます。
Googleの報告にある流れ
Googleの脅威分析グループ(TAG)の2021年10月20日の報告によると、手口は次のような流れでした。
- ウイルス対策ソフト、VPN、音楽プレーヤー、写真編集、オンラインゲームなどの「コラボの機会」を持ちかけるメールが届く。実在する会社を名乗り、動画広告での協力を頼むものもあった。
- クリエイターはチャンネルに仕事用のメールアドレスを載せていることが多く、そこが狙われた。
- 話に乗ると、偽のソフトのダウンロードページへのリンク、またはリンクを載せたPDFやGoogleドキュメントが送られてくる。
- そのソフトがマルウェアで、ブラウザのCookieやパスワードが盗まれる。
TAGは、この攻撃者のアカウント約1万5,000件、マルウェアを配るために作られたドメインを少なくとも1,011件見つけたとしています。対策として、約160万件のメッセージを止め、約4,000件のアカウントを元に戻したことも報告しています。
YouTubeヘルプの説明
YouTubeヘルプの「YouTubeチャンネルを保護する」は、マルウェアが入り込む道として、迷惑メールや虚偽のスポンサーシップ・ブランド案件のメールのリンク、信頼できない提供元からのプログラムのダウンロード、偽のソフト更新を挙げています。マルウェアの多くは、パスワード付きのzipファイル(中身が.scrや.exe)として入り込むとも書いています。パスワード付きの圧縮ファイルは、ウイルス対策ソフトで中を調べられない場合があります。
案件メールを受け取ったときの確かめ方
- YouTubeからの正式なメールは、@youtube.comか@google.comのアドレスから送られるものだけです(YouTubeヘルプ)。
- ブランド案件やスポンサーのメールには、返信する前に、その会社に電話するか、いつもの担当者に連絡して本物かを確かめるよう、YouTubeヘルプはすすめています。
- Googleのパスワードは、myaccount.google.com以外のサイトに入れないようにします(YouTubeヘルプ)。
- ダウンロードしたファイルは、開く前にウイルス対策ソフトで調べます。TAGは、セーフブラウジングの警告を無視するよう攻撃者が言ってくることが多いので、警告は真剣に受け止めるよう書いています。
会社のメールで同じことが起きる「標的型メール」の考え方は標的型メールの悩みのページ、うっかり開いてしまったあとの動き方は変なメールを開いてしまったときの記事にまとめています。
10暗号資産の配信や名前の書き換えに使われたとき:視聴者への知らせ方
乗っ取られたチャンネルで暗号資産の配信や偽のプレゼント企画が流れると、チャンネルを見に来た視聴者がだまされるおそれがあります。チャンネルを直す作業と並行して、視聴者に知らせることも考えます。
- 知らせるのは、乗っ取られたチャンネル以外の場所で:会社のWebサイト、ほかのSNSの公式アカウント、メールマガジンなど、本人だと分かる場所を使います。乗っ取られたチャンネルの中で書いても、犯人の書き込みと区別がつきません。
- 伝えることは短く:いつから乗っ取られていたか、その間の配信や投稿は自分たちのものではないこと、配信の中の送金や「暗号資産を送ると倍にして返す」といった話には応じないこと、取り戻したら知らせること。
- お金を送ってしまった視聴者がいたら:警察の相談窓口(警察相談専用電話「#9110」や都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口)や消費者ホットライン「188」を案内します(相談先の節)。
お知らせの例です。
「【お知らせ】当社のYouTubeチャンネルが、〇月〇日から第三者に不正にログインされ、チャンネル名の変更や暗号資産に関する配信が行われました。これらは当社によるものではありません。配信内で送金や暗号資産の送付を求められても、応じないでください。現在、YouTubeの手順に沿って復旧を進めています。」
暗号資産の配信は、乗っ取った人が別の会社になりすますためのものです。YouTubeヘルプにあるとおり、名前とブランディングを元に戻すことが、自分たちのチャンネルを守ることにもつながります。詐欺の全体像は詐欺の悩みのページにあります。
11チャンネルが停止された・動画が消えたとき
チャンネルが停止された
YouTubeヘルプによると、ハッキングのあとにチャンネルが停止された場合は、Googleアカウントの復元が終わってから、専用のフォームで再審査を請求できます。復元が終わっていないと、再審査が承認されない可能性があります。
動画が消えた・非公開になった
まず、動画の公開設定を見て、非公開にされていないかを確かめます。YouTubeヘルプのクリーンアップの手順には、ハッカーが既存の動画を非公開にしている場合があると書かれています。乗っ取った人がアップロードした動画は、違反警告などが付いていなければ削除し、付いていればYouTubeに調査を依頼します。
YouTubeのサポートに問い合わせる
YouTubeヘルプによると、YouTubeパートナープログラムに参加しているなど条件を満たすクリエイターは、Googleアカウントの復元が終わったあと、YouTubeクリエイターサポートに問い合わせられます。問い合わせができない場合は、Xの@TeamYouTubeに連絡するよう案内されています。
注意点が1つあります。YouTubeヘルプは、データ保持のポリシーにより、サポートできるのは過去9か月以内に起きた件に限られ、それより前の件は元に戻せないことがある、としています。気づいたら早めに動いてください。
12会社・お店のチャンネルで決めておく対策(予防設定)
- 2段階認証を設定し、2つ目の確認にパスキーを選ぶ:YouTubeヘルプの「YouTubeチャンネルを保護する」は、パスワードの盗難がアカウントの不正使用の主な原因の一つだとして、2段階認証の設定をすすめています。2つ目の確認方法には、パスキー、セキュリティキー、Googleからのメッセージ、Google認証システム、電話の確認コード、バックアップコードがあり、パスキーは「フィッシングからアカウントを保護する非常に強力な手段」とされています(二段階認証、パスキーの用語ページ)。
- アカウント復元用の電話番号とメールアドレスを登録する:不審な操作の通知や、ログインできなくなったときの復元に使われます。担当者個人の番号ではなく、会社で管理できる連絡先にしておくと引き継ぎが楽です。
- パスワードは共有せず、チャンネルの権限で分ける:役割は必要最小限にし、退職者や契約が終わった外注先はすぐに外します。
- Chromeの「セーフブラウジング保護強化機能」をオンにする:YouTubeヘルプとTAGの報告がすすめている設定です。
- ウイルス対策ソフトを入れ、ダウンロードしたファイルは開く前に調べる:特に案件メールの添付やリンクから受け取ったファイルです。
- 知らないアプリを入れず、使っていない連携アプリは外す:YouTubeヘルプは、知らないアプリや提供元が分からないアプリを入れず、不要な接続済みアプリはアカウントの設定から削除するよう案内しています。
- チャンネルに関わる全員に、この対策を共有する:YouTubeヘルプも、チャンネルの所有者は保護の記事をアクセスできる人と共有するよう書いています。
ここに挙げたのは、YouTubeヘルプとGoogleアカウントヘルプが案内している対策です。乗っ取られたあとの立て直しにも、これから守るためにも使えます。会社やお店のチャンネルは、担当者が変わっても続くよう、社内の決まりにしておきます。
Googleの脅威分析グループの2021年の報告では、2021年11月1日から、収益化しているYouTubeクリエイターはYouTube Studioを使うのに2段階認証を有効にする必要がある、と発表されていました。まだ設定していない社内のアカウントがないかも確かめてください。パスワードの管理を楽にするならパスワード管理の分類ページ、守り方全体は乗っ取り・不正ログインの悩みのページを見てください。
13困ったときの相談先
- YouTubeクリエイターサポート:YouTubeパートナープログラムの参加者など、条件を満たすクリエイター向け。Googleアカウントを取り戻したあとに問い合わせます。
- X(旧Twitter)の@TeamYouTube:クリエイターサポートに問い合わせられない場合の窓口として、YouTubeヘルプが案内しています。
- 警察(サイバー犯罪の相談窓口):警察庁の「サイバー事案に関する相談窓口」のページから、都道府県警察の窓口や、全国共通のオンライン受付(通報・相談・情報提供)を探せます。被害届は最寄りの警察署へ。警察庁は、被害に遭ったらログイン履歴の画面などを保存・印刷して証拠を残し、それを持って相談するよう案内しています。
- 警察相談専用電話「#9110」:緊急ではない相談を受け付ける警察の電話です。
- IPA「情報セキュリティ安心相談窓口」(03-5978-7509):技術的な相談の窓口として、警察庁の相談窓口ページでも紹介されています。
- 消費者ホットライン「188」:近くの消費生活センターを案内します。視聴者が詐欺で支払ってしまったときの相談先にもなります。
IPAは2025年8月28日の「安心相談窓口だより」で、2025年7月の不正ログインの相談が144件と、これまでで最多になったと報告しています。誰にでも起こることなので、一人で抱えずに相談してください。会社の事故として対応したいときは事故対応の分類ページから、相談できる会社を探せます。
14よくある質問
QYouTubeチャンネルが乗っ取られたら、最初に何をすればいい?
チャンネルにつながっているGoogleアカウントを取り戻すことです。ログインできるならパスワードを変えてセキュリティ診断を、できないならアカウント復元の手順を進めます。案件メールなどのファイルを開いた心当たりがあれば、先にパソコンをウイルス対策ソフトで調べてください。
Qパスワードを変えたのに、また名前を書き換えられました
マルウェアが残っているか、ほかに入れる道が残っている可能性があります。Googleの報告によると、Cookieを盗む手口ではパスワードなしで入られることがあります。パソコンを調べてマルウェアを取り除き、Googleアカウントの「すべてのデバイスを管理」で覚えのない端末をログアウトし、チャンネルの権限やブランドアカウントに知らない人がいないかを確かめてください。
Q乗っ取られた間に配信された暗号資産の動画は、どうすればいい?
乗っ取った人がアップロードした動画は、違反警告や著作権の申し立てが付いていなければ削除し、付いていればYouTubeに調査を依頼します(YouTubeヘルプ)。あわせて、ほかのSNSや自社サイトで、その配信が自分たちのものではないことを知らせてください。
Q何か月も前に乗っ取られたチャンネルも取り戻せますか?
YouTubeヘルプは、データ保持のポリシーにより、サポートは過去9か月以内に起きた件に限られ、それより前の件は復元できない場合があるとしています。気づいた時点で、すぐに手続きを始めてください。
Q「チャンネルを復旧します」という業者やDMは信用していい?
YouTubeは、パスワードやメールアドレスなどのアカウント情報を尋ねることは決してない、としています(YouTubeヘルプ)。公式の窓口は、YouTubeクリエイターサポートと@TeamYouTubeです。パスワードや確認コードを第三者に渡すと、もう一度乗っ取られるおそれがあります。
Q外注の運用会社にチャンネルを任せています。何に気をつければいい?
パスワードを渡さず、チャンネルの権限で必要な役割だけを与えます。編集だけなら「編集者」、収益を見せる必要がなければ「制限付き」の役割を選べます。契約が終わったら、すぐにアクセス権を削除してください。
NEXT ・ 次に読む
週1回・無料
「今週気をつけること」をメールで受け取るいま悪用されている脆弱性と、出回っている詐欺の手口を、毎週まとめてお届けします。いつでも解除できます。SOLUTIONS同じ被害を防ぐ対策
この記事に関係する対策の種類から、評価の高いサービスを選んでいます。
- 証拠25/35
- 透明さ35/35
- 使いやすさ30/30
- 料金
- 月498円〜
- 無料
- 30日体験
- 返金
- —
- 日本語窓口
- 電話
知っておくことが2件あります
国内のトレンドマイクロが提供するPC・スマホ向けの総合セキュリティソフトで、電話・チャットなど日本語の窓口が厚い。3台までの家庭向け…
- 証拠29/35
- 透明さ28/35
- 使いやすさ20/30
- 料金
- 外貨建て
- 無料
- 14日体験
- 返金
- —
- 日本語窓口
- 不明
カナダのAgileBitsが提供するパスワード管理。無料プランは無く、14日間の体験後に有料になる。個人・家族から大企業まで向けのプランがあ…
- 証拠25/35
- 透明さ35/35
- 使いやすさ27/30
- 料金
- 月0円〜
- 無料
- プランあり
- 返金
- —
- 日本語窓口
- チャット
Windowsに最初から入っているウイルス対策で、別のソフトを買わなくても有効になる。第三者試験の防御成績は有料製品と同水準で、VPNや漏…
出典(一次資料)13件被害を受けた組織や公的機関の発表だけを出典にしています(2026.10.31に確認)開く
- 1YouTubeヘルプ「ハッキングされたYouTubeチャンネルを復元する」 ↗support.google.com
- 2YouTubeヘルプ「ハッキングされたYouTubeチャンネルをクリーンアップする」 ↗support.google.com
- 3YouTubeヘルプ「チャンネルの権限機能を使用してYouTubeチャンネルへのアクセス権を追加または削除する」 ↗support.google.com
- 4YouTubeヘルプ「YouTubeチャンネルを保護する」 ↗support.google.com
- 5YouTubeヘルプ「YouTubeクリエイター向けの安全に関するヒントとリソース」 ↗support.google.com
- 6Googleアカウントヘルプ「ブランドアカウントを管理する」 ↗support.google.com
- 7Googleアカウントヘルプ「パスワードを変更または再設定する」 ↗support.google.com
- 8Googleアカウントヘルプ「アカウントにアクセスしたデバイスを確認する」 ↗support.google.com
- 9Googleアカウントヘルプ「ハッキングまたは不正使用されたGoogleアカウントを保護する」 ↗support.google.com
- 10
- 11警察庁「サイバー事案に関する相談窓口」 ↗www.npa.go.jp
- 12警察庁「不正アクセス対策」 ↗www.npa.go.jp
- 13IPA「インターネットサービスへの不正ログインによる被害が増加中」(2025年8月28日) ↗www.ipa.go.jp

