ルーターの乗っ取りを確かめる方法|Wi-Fiルーターのサイン、管理画面で見る4つの設定、乗っ取られたときの手順と買い替えの目安
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- セキュリティ図鑑編集部
推測しやすいID・パスワードの機器
NOTICEの観測、2026年8月時点ファームウェアに高リスクの穴がある機器
NOTICEの観測、2026年8月時点警察庁が挙げる管理画面の確認項目
VPN・DDNS・外部からの管理画面・VPNアカウント管理用パスワードの目安
英大文字・小文字・数字・記号を含む(NOTICE)SUMMARY
要点をまとめると
- 01
ルーターの乗っ取りは、管理画面の設定で確かめます。
- 02
警察庁は、VPN・DDNS・外部から管理画面への接続が覚えなく有効になっていないか、知らないVPNアカウントがないかを定期的に見るよう呼びかけています。
- 03
覚えのない設定があれば初期化し、ファームウェアを最新にして管理用パスワードを複雑にします。
そもそもファームウェアとは?
ルーターやカメラの中に入っている、機器を動かすためのプログラムです。穴が見つかると、メーカーが直した版を出します。
たとえるなら家の玄関の鍵の仕組み。古い型の鍵は開け方が知られてしまうので、新しい鍵に取り替える必要がある。
- 1穴が見つかるファームウェアに弱点が見つかる
- 2直した版が出るメーカーがサイトで公開する
- 3当てないと狙われる自動更新を有効にしておく
NOTICE(総務省・NICTほか)の説明をもとに、やさしく言い換えています。
この記事をスライドで理解する(6枚)
1 / 6最近ネットが急に遅い。つながったり切れたりする。スマホでサイトを開いたら、見覚えのない「アプリを入れてください」という表示が出た。プロバイダから「お使いの機器がサイバー攻撃に悪用されるおそれがあります」という知らせが届いた。家や小さな事務所のWi-Fiルーターは毎日使うのに、中の設定を見ることはほとんどありません。そのルーターが乗っ取られているかもしれないと思ったときに、何をどう確かめ、どう直すかを順番にまとめました。
中身は、警察庁、総務省、NOTICE(総務省・NICT〈情報通信研究機構〉・プロバイダなどが連携するIoT機器の注意喚起の取り組み)、IPA(情報処理推進機構)、JPCERT/CC(日本の事故対応の調整機関)、ルーターメーカー(バッファロー・NECプラットフォームズ)の公式ページを2026年10月31日時点で確かめたものです。スマホやパソコン本体が乗っ取られていないかの確かめ方はハッキングされたか確認する方法にまとめているので、この記事ではルーターだけを扱います。
01この記事でわかること(3行まとめ)
VPN・DDNS・外部からの管理画面
初期化→最新のファームウェア→パスワード
新しいファームウェアが出ない
- 乗っ取りは、ルーターの中の設定で確かめます。警察庁は、管理画面で「VPN機能」「DDNS機能」「インターネット(外部)から管理画面への接続」が覚えなく有効になっていないか、知らないVPNアカウントが増えていないかを定期的に確かめるよう呼びかけています。
- 覚えのない設定があれば、初期化から直します。警察庁の手順は「初期化する→ファームウェアを最新にする→機器のパスワードを複雑なものに変える」です。Wi-Fiのパスワードを変えるだけでは足りません。
- サポートが終わったルーターは買い替えを考えます。新しいファームウェアが出ないので、見つかった穴がふさがりません。警察庁、総務省、NOTICEがそろって買い替えの検討を勧めています。
02ルーターが乗っ取られると何が起きる?
ルーターが乗っ取られても、家のパソコンは無事なら困らないよね?
困ります。他人への攻撃の踏み台にされたり、偽のサイトに連れて行かれたり、家の中のネットワークに入られたりします。
ルーターは、家の中のスマホやパソコンとインターネットをつなぐ「玄関」です。NOTICEは、パソコンにパスワードをかけていても、インターネットの入口であるルーターに対策をしなければ、サイバー攻撃の被害に巻き込まれるおそれは十分あると書いています。NOTICEが挙げる、乗っ取られたときに起きることは次のとおりです。
| 起きること | NOTICEの説明 |
|---|---|
| 攻撃の「踏み台」にされる | ルーターが攻撃者に操られる状態(ボット化)になり、他人への攻撃やマルウェアの拡散に使われる |
| ネットが遅い・切れる | 機器の帯域幅・CPU・メモリが消耗して動作が不安定になり、インターネットにつながらなくなることもある |
| 家の中のネットワークに入られる | LAN(家の中のネットワーク)に侵入され、個人情報の漏えい、ファイルの破壊、気づかないうちの「裏口」の設置のおそれ |
| 自分が疑われる | 攻撃の踏み台にされると、攻撃を受けた側から、あなた自身が攻撃者だと疑われる危険がある |
踏み台にされたルーターは、大量の通信を送りつけてサービスを止めるDDoS攻撃に使われることがあります。総務省は、ルーターやネットワークカメラが乗っ取られてDDoS攻撃の発生源になる事例が多数報告されているとしています。また、ルーターが原因で攻撃が起きたり、起きる可能性が高い状態になったりすると、プロバイダが被害を広げないためにルーターなどの接続を一時的に止めることがある、とNOTICEは説明しています。
警察庁は2023年3月28日、サイバー攻撃事案の捜査の過程で家庭用ルーターが攻撃に悪用され、従来の対策だけでは対応できないことが分かったとして、メーカーと協力して注意喚起を出しました。攻撃者が外から不正に操作して、ルーターにもともと入っている機能を有効にする手口です。一度設定を変えられると、従来の対策だけでは不正な状態が解消されず、ずっと悪用できる状態になってしまう、と警察庁は書いています。ルーターの乗っ取りは「パスワードを変えれば終わり」ではない、というのがこの注意喚起の大事な点です。
偽のサイトに連れて行かれる被害もあります。バッファローは2018年、スマホでネットにつなごうとすると「Facebook」の機能追加をうながすメッセージが出るという相談を調べた結果、自社の無線LAN親機(ルーターモード)で、DNSの設定が利用者の意図しない悪意ある値に追加・変更されていたと公表しました。DNSは、サイトの名前をつなぎ先の住所(IPアドレス)に変える仕組みです。バッファローは、この悪意ある設定によって悪いサイトに誘導され、表示が出たと推察しています。
03乗っ取りのサイン:こんなことが起きていませんか
プロバイダからメールや郵送で届く
乗っ取られた機器は動作が不安定に
アプリを入れさせる見覚えのない画面
VPN・DDNS・DNSの値を管理画面で見る
ルーターの乗っ取りは、画面にはっきりした表示が出ないことが多いものです。公式の資料から読み取れるサインを並べます。どれも「これがあれば必ず乗っ取り」というものではないので、次の節の設定の確認とあわせて判断してください。
- プロバイダからNOTICEの注意喚起が届いた:注意喚起は契約しているプロバイダからメールや郵送で届きます。NOTICEは、注意喚起を受けた場合、ルーターなどがサイバー攻撃に悪用される危険がとても高い状態だとしています(あとの節で対応を説明します)。
- ネットが遅い、よく切れる:NOTICEは、乗っ取られた機器は資源を消耗して動作が不安定になる、攻撃に使われると通信の帯域が埋まって速度が落ちたり一時的に切れたりする、と説明しています。ただし、遅さの原因は回線の混雑など、ほかにもたくさんあります。
- サイトを開くと、見覚えのない案内やアプリを入れさせる表示が出る:バッファローの2018年の事例です。バッファローは、こうした画面は一切操作せずに相談するよう案内しました。
- 管理画面に覚えのない設定がある:警察庁が挙げる「VPN」「DDNS」「外部から管理画面への接続」の有効化や、知らないVPNアカウントです。DNSの値が自分で入れていないものに変わっている場合も同じです(バッファロー)。
- 覚えのない変更で管理画面に入れない:自分で変えた覚えがないのに管理用パスワードが通らないときは、設定を書き換えられた可能性も考えて、メーカーやプロバイダに相談します。
スマホの画面をいくら見ても、ルーターの中の状態は分かりません。ルーターの状態は、ルーターの管理画面で見るのが基本です。
04なぜ乗っ取られる?主な入口は3つ
NOTICEは、ルーターやネットワークカメラに潜むリスクとして、管理用パスワード、ファームウェア、開けたポートの3つを挙げています。
1. 管理用パスワードが推測しやすい・初期のまま
ルーターの設定を変えるための「管理用パスワード」が弱いと、外から設定を書き換えられます。NOTICEによると、初期の管理用パスワードはマニュアルに書かれていて、インターネット上で公開されていることもあります。同じ機種に一律に設定された初期パスワードは攻撃者も簡単に手に入れられるため最も危険で、「admin」や「password」のような、よく使われるパスワードは攻撃者が最初に試すものだとしています。JPCERT/CCも、出荷時の設定では認証の機能が切られていたり、製品共通のIDとパスワードが入っていたりする場合があると注意しています。
気をつけたいのは、Wi-Fiにつなぐときのパスワード(暗号キー)と、管理用パスワードは別物だという点です(NOTICE)。Wi-Fiのパスワードを複雑にしていても、管理用パスワードが初期のままなら守れていません。また、中古で買ったルーターをパスワードを変えずに使っていると、以前の持ち主などがパスワードを知っている状態になり、悪用されるおそれが高まるとNOTICEは書いています。
一方で、NOTICEは、最近の製品には1台ずつ違う複雑な初期パスワードが設定されているものがあり、そうした製品は変更しなくても安全に使えるとしています。本体やマニュアルで、自分の機種がどちらかを確かめてください。
2. ファームウェアが古い
ファームウェアは、ルーターの中に入っている制御用のプログラムです。ファームウェアに新しい脆弱性(セキュリティの穴)が見つかると、第三者に悪用されるおそれがあり、穴を直した新しい版を当てる必要があります(NOTICE)。バッファローが2018年にDNSの書き換えを確認した機種では、管理パスワードが工場出荷時のままで、ファームウェアも古い状態でした。
3. 使っていない機能や、開けたポートが外から使える
ルーターには、外出先から設定を変えたり、家の中の機器を外から見たりするための機能があります。NOTICEは、不用意に開けたポート(外からの通信の受け口)が第三者の入口になりうるとして、必要なものだけに限り、使わないものは閉じるよう書いています。外から家の中の機器につなぐ「ポートフォワーディング」は便利な反面、攻撃者のアクセスも可能になるとNOTICEは説明しています。JPCERT/CCは、UPnP(機器が自動でルーターの設定を変える仕組み)などの機能で、家の中の機器が知らないうちにインターネットから届く状態になる場合があると注意しています。
05管理画面で確認する4つの設定(警察庁の確認項目)
管理画面って、どこを見ればいいの?
警察庁が挙げる4つです。VPN、DDNS、外部から管理画面への接続が覚えなく有効でないか、知らないVPNアカウントがないかを見ます。
覚えなく有効になっていないか
覚えなく有効になっていないか
外から設定を変えられる状態でないか
知らないアカウントが増えていないか
- 「VPN機能設定」が、覚えなく有効になっていないか
- 「DDNS機能設定」が、覚えなく有効になっていないか
- 「インターネット(外部)からルーターの管理画面への接続設定」が、覚えなく有効になっていないか
- VPN機能設定に、覚えのないVPNアカウントが追加されていないか
警察庁が2023年3月28日の注意喚起で挙げた確認項目です。警察庁は、従来の3つの対策(初期の単純なIDやパスワードを変える、常に最新のファームウェアを使う、サポートが終わったルーターは買い替えを考える)に加えて、「見覚えのない設定変更がされていないか定期的に確認する」ことを新しい対策として求め、問題があればその都度直すよう書いています。設定の場所と名前は機種で違うので、取扱説明書やメーカーのホームページで確かめてください(警察庁)。画面の名前は、ファームウェアの更新で変わることもあります。
管理画面への入り方
NOTICEによると、管理画面への入り方は一般に2通りです。1つは、パソコンやスマホのブラウザ(Google ChromeやMicrosoft Edgeなど)のアドレス欄にルーターのIPアドレスを入れ、メーカー指定のユーザー名と管理者パスワードでログインする方法。もう1つは、ルーターのメーカーのスマホアプリを開き、管理者パスワードでログインする方法です(アプリがない機種もあります)。入れるアドレスや初期のユーザー名は、機種のマニュアルに書かれています。
4つの機能は何をするもの?
VPNは、外から暗号化した通り道を作って、家や会社のネットワークの中に入るための仕組みです。DDNSは、変わることのある家の回線の住所(IPアドレス)に決まった名前を付けて、外から見つけやすくする仕組みです。外部からの管理画面への接続は、外出先からルーターの設定を変えるための機能です。どれも「外から家の中に入る」ための機能なので、自分で使っていないのに有効になっていれば、警察庁の手順で直します。
プロバイダから借りている「ホームゲートウェイ」(光回線の装置とルーターが一体になった機器)を使っている家も多いはずです。NOTICEは、ホームゲートウェイはプロバイダから貸し出されるのが一般的だとしています。設定画面の開き方や、どこまで自分で変えてよいかは、プロバイダの案内を確かめてください。
06DNSの設定と、つながっている機器の確かめ方
DNSの設定は、警察庁の4項目には入っていませんが、バッファローの2018年の事例で書き換えが確認された場所です。バッファローは、悪意あるDNSの値が見つかった場合は削除することを勧め、本来入れるべき値は契約しているプロバイダに相談するよう案内しました。管理画面で、インターネット接続(WAN)の設定にあるDNSサーバーの欄を見て、自分やプロバイダが入れた覚えのない値がないかを確かめます。覚えのない値があれば、まず画面の写真を撮ってから、プロバイダの案内どおりの設定に戻します。
ルーターを「ブリッジモード」(ルーターの機能を切って、無線の親機としてだけ使う設定)で使っている場合は注意が必要です。バッファローは、ブリッジモードではつながる機器にDNSの値を知らせる機能がないため、同じ現象が起きたらほかの機器を確かめるよう案内しています。NOTICEも、ブリッジで使っているときはインターネット側に近い、もとのルーター(プロバイダのルーターなど)を重点的に守る必要があるとしています。
機種によっては、管理画面で「いまつながっている機器の一覧」を見られます。家族の機器を数えて、知らない機器がつながっていれば、Wi-Fiのパスワード(暗号キー)を変えます。総務省の「自宅Wi-Fi利用者向け 簡易マニュアル」は、Wi-Fiの暗号の方式に「WPA2またはWPA3」を選び、パスワードは第三者に推測されにくいものにするよう勧めています。
07ファームウェアとサポート期限の確かめ方
NOTICEが案内するファームウェアの更新の流れは、次の3段階です。
- メーカーのサイトを見る:いまのファームウェアより新しい版が出ていないかを確かめます。管理画面に、いまの版の番号が出ています。
- マニュアルを読む:更新の手順と注意事項を確かめます。
- 更新する:ルーター自体から、ネットワーク経由で更新する方法と、メーカーの更新ツールをパソコンに入れて更新する方法があります。
NOTICEは、ファームウェアの「自動アップデート」ができる機種を選び、その機能は必ず「有効」にするよう勧めています。また、更新中に電源が切れるなど予期しないことが起きると機器が壊れて使えなくなるおそれがある、とNOTICEサポートセンターは注意しています。更新の間は電源を抜かないでください。
あわせて確かめたいのが、メーカーのサポート期限です。サポートが終わると新しいファームウェアが出なくなり、穴が見つかっても直せません。メーカーごとの考え方は次のとおりです。
| メーカー | 公式に示されたサポートの目安 |
|---|---|
| バッファロー | 不具合や脆弱性を直したソフトウェア(ファームウェア)を出せる期間は、製造終了日から5年間か、商品の最長保守年数の長いほう。早く終わる商品もある |
| NECプラットフォームズ(Aterm) | 販売終了から約3年間がサポート期間。終わる約1年前に、一覧の「サポート期間状況」に終了の年月を書き足す |
| エレコム | ネットワーク製品のサポートと修理は生産終了後最長5年(NOTICEのメーカー情報のページ) |
| アイ・オー・データ | 生産終了日から5年以上たった製品から順にサポートを終える(NOTICEのメーカー情報のページ) |
期間はメーカーの方針で、状況によって早まることもあります。型番を控えて、メーカーのサポート状況の一覧で確かめてください。NOTICEの「IoT機器メーカー サポート情報」のページに、ヤマハやサン電子なども含めた各社の一覧へのリンクがまとまっています。
08乗っ取られたかもしれないときにやること
変な画面は押さない、設定を撮る
書き換えた設定ごと消す
ファームウェア更新と管理用パスワード
VPN・DDNS・外部からの管理画面
- 表示された画面は操作しない:見覚えのない案内やアプリのダウンロードの画面が出ても、押さずに閉じます(バッファロー)。
- 記録を残す:管理画面の覚えのない設定、DNSの値、気づいた日時と表示を、写真やメモで残します。プロバイダや警察に相談するときに役立ちます。
- ルーターを初期化する:警察庁は、覚えのない設定があった場合はルーターの初期化を行うよう求めています。初期化すると、プロバイダの接続IDやWi-Fiの設定も消える機種があるので、契約の書類を手元に用意してから行います。
- ファームウェアを最新にする:初期化のあと、インターネットにつなぐ前後にすぐ最新版にします(警察庁)。
- 管理用パスワードを複雑なものに変える:NOTICEの目安は、10桁以上で、英大文字・小文字・数字・記号を含み、名前や誕生日を避けた推測されにくいものです。ほかのパスワードの使い回しはしません。
- 使わない機能を切る:外部から管理画面への接続、VPN、DDNSなど、使っていない機能を無効にします。NOTICEは、使わないならSSHやTelnetといった遠隔操作の接続も無効にし、外から使う必要があるなら接続元を最小限に制限するよう書いています。
- Wi-Fiのパスワードも変える:暗号の方式はWPA2またはWPA3にします(総務省)。
- つながっていた機器も確かめる:偽の表示から何かを入れてしまった場合などは、スマホやパソコンも確かめます。手順はハッキングされたか確認する方法を見てください。
- サポートが終わっていたら買い替える:直しても穴がふさがらないからです(警察庁)。
NOTICEは、すでにウイルスやマルウェアに感染している場合は、こうした対応をしても問題が解決しないことがあるとしています。自分でできない、直ったか分からないときは、メーカーのサポート、プロバイダ、NOTICEサポートセンターに相談してください(「困ったときの相談先」)。
09買い替えの目安:サポート終了・中古・技適とJC-STAR
「まだ動くのに買い替えるの?」と迷う人は多いはずです。公式の資料から、買い替えを考える目安を並べます。
- メーカーのサポートが終わっている:警察庁は、サポートが終わったルーターは脆弱性を直すファームウェアの更新がなく、リスクがさらに高まるとして買い替えの検討を求めています。総務省の簡易マニュアルも「サポート期限内のWi-Fiルーターを利用しよう」を5つのポイントの1つにしています。NOTICEは、サポートが終わるとメーカーから脆弱性の情報が出ない場合もあり、リスクに気づきにくくなると書いています。
- 中古で手に入れ、初期化やパスワード変更ができていない:以前の持ち主などがパスワードを知っている状態になります(NOTICE)。
- ファームウェアを更新できない、電源を切ると設定が初期に戻る:2019年の法令改正で、ルーターなどのIoT機器には、不正な設定変更を防ぐアクセス制御、初期のID・パスワードの変更を促す機能か1台ずつ違うID・パスワード、ファームウェアの更新機能、電源が切れても設定やファームウェアが初期に戻らないこと、の4つの基準が義務づけられました(端末設備等規則第34条の10、NOTICEの説明)。NOTICEは、基準を満たしていない機器は使用を避けるよう勧めています。
新しく買うときの目印も2つあります。1つは「技適マーク」です。NOTICEによると、2020年4月以降、ルーターなどについてはセキュリティの基準への適合も確かめたうえで技術基準の認定が行われています。もう1つは、IPAが運営する「JC-STAR」(セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度)の適合ラベルです。NOTICEは、安全なIoT製品を選ぶにはJC-STARの適合ラベルが付いた製品を選ぶよう案内しています。ただしIPAは、ラベルは最低限の水準を満たしたことを確かめるもので、完全なセキュリティを保証するものではないと書いています。ほかに、1台ずつ違う初期パスワード、自動アップデートの機能も、NOTICEが勧める選び方です。
10プロバイダからNOTICEの注意喚起が届いたら
NOTICEは、2019年2月20日に始まった総務省・NICT・プロバイダなどの取り組みです。NICTが、国内のグローバルIPアドレス(IPv4)で外からつながるIoT機器に、推測されやすいID・パスワード(2020年10月から約600通り)を入れて、悪用されるおそれのある機器を調べます。2024年3月29日からは「新しいNOTICE」として、ファームウェアに脆弱性がある機器や、すでにマルウェアに感染している機器も対象に加わりました。見つかった機器は、プロバイダが契約者を特定して注意喚起します。総務省は、この調査は機器の内部に侵入したり通信の秘密を侵したりするものではないとしています。
- 本物かどうかを確かめる:注意喚起は、契約しているプロバイダからメールや郵送で届きます。NOTICEは、契約しているプロバイダ以外からNOTICEを名乗る連絡があった場合は詐欺のおそれがあるとして、NOTICEサポートセンターかプロバイダに問い合わせるよう書いています。
- お問合せIDで対処方法を見る:メールや封書に書かれた12桁または15桁の英数字を、NOTICEのサイトの「注意喚起を受けた方へ」のページで入れると、機器に合わせた対処方法を確かめられます。
- すぐに対策する:管理用パスワードの変更、ファームウェアの更新、使わない機能の停止です。この記事の「乗っ取られたかもしれないときにやること」の順で進めます。
NOTICEの2026年8月時点の観測では、参加しているプロバイダのIPアドレスに対して観測した機器は月1.18億件。そのうち推測しやすいID・パスワードの機器は月13,708件、ファームウェアに高リスクの脆弱性がある機器は月2,151件、Mirai(IoT機器を狙うマルウェア)にすでに感染していると推定される機器は1日あたり最大299件でした。注意喚起が届くのは、珍しい家だけではありません。
11小さな事務所・お店のルーターで確認すること
- 機器が外から見える状態になっていないか:JPCERT/CCは、組織内や自宅内の機器が意図せずインターネットからアクセスできる状態になっていないか、ルーターやファイアウォールで機器へのアクセスが制限されているかを確かめるよう求めています。機器に意図せずグローバルIPアドレスが割り当てられている場合もあるとしています。
- 外からつなぐなら制限をかける:業務でどうしても外からのアクセスが要る場合は、特定のIPアドレスからだけ許可する、VPNを使うなどの制限を検討するよう、JPCERT/CCは書いています。
- 記録を時々見る:JPCERT/CCは、定期的に機器のログを見て、第三者に不正に使われた形跡がないか確かめることも大事だとしています。長い休みの間、業務に要らない機器は止めることも検討するよう書いています。
- 業者に任せた機器は、業者に確かめる:NOTICEは、法人では、ネットワークの構築を外部に頼んだ業者がルーターを用意する場合もあるとしています。JPCERT/CCも、設定は機器のマニュアルを見るか設置事業者に確認するよう勧めています。管理用パスワードを誰が持っているか、ファームウェアの更新を誰がするかを、契約や引き継ぎの書類で確かめます。
テレワークや拠点間の接続に使う業務用のVPN機器は、家庭用ルーター以上に狙われます。NOTICEの事例のページは、病院のランサムウェア被害で、感染の経路はVPN機器の可能性が高いとされた例を紹介し、使っている機器の脆弱性を確かめ、常に最新のファームウェアに更新する必要があるとしています(VPN機器からの侵入)。2026年10月にも、FortiGateなどのファームウェアの脆弱性の悪用が相次いで確認されました。会社の出入口を1台で守るなら、更新や見張りを業者が引き受けるUTM(統合型のファイアウォール)を選ぶ方法もあります。
12乗っ取りを防ぐ設定:今日からの対策
- 管理用パスワードを推測されにくいものにする:10桁以上、英大文字・小文字・数字・記号を含む、名前や誕生日を避ける(NOTICE)。1台ずつ違う複雑な初期パスワードが設定された製品なら、変えなくてもよいとNOTICEは書いています。
- ファームウェアの自動アップデートを有効にする:自動更新がない機種は、メーカーのサイトで定期的に新しい版を確かめます(NOTICE)。
- 使わない機能は切る:外部から管理画面への接続、VPN、DDNS、SSH・Telnetなど。使うなら接続元を絞り、パスワードを強くします(NOTICE)。
- 開けたポートとUPnPを見直す:昔ゲームやカメラのために開けたポートが残っていないかを確かめ、不要なら閉じます(NOTICE・JPCERT/CC)。
- Wi-FiはWPA2かWPA3、推測されにくいパスワードで(総務省)
- 設定を定期的に見る:総務省の簡易マニュアルは「Wi-Fiルーターの設定を定期的に確認しよう」を5つのポイントに入れています。警察庁の4項目を、たとえば季節ごとに見る習慣をつけます。
- サポート期限を控えておく:型番とサポート終了の時期を、メーカーの一覧で確かめておきます。
総務省の「自宅Wi-Fi利用者向け 簡易マニュアル(令和7年2月版)」の5つのポイントは、「セキュリティ方式はWPA2またはWPA3を選択しよう」「パスワードは第三者に推測されにくいものにしよう」「サポート期限内のWi-Fiルーターを利用しよう」「ファームウェアを最新の状態にしよう」「Wi-Fiルーターの設定を定期的に確認しよう」です。外出先の公衆Wi-Fiの使い方は公衆Wi-Fi・通信ののぞき見にまとめています。ルーターの乗っ取りは、つながっている防犯カメラや見守りカメラののぞき見にもつながるので、あわせて確かめてください。
13困ったときの相談先
- NOTICEサポートセンター:0120-769-318(無料、固定電話のみ)、03-4346-3318(有料)。受付は10時〜18時(12月29日〜1月3日を除く)。機器に応じて、管理用パスワードの変更やファームウェアの更新などの対策を案内しています。ただし、作業で機器が壊れても保証はしないこと、すべての機種を細かく案内するものではないことを断っています。
- ルーターのメーカー・プロバイダ:設定の場所、初期化のしかた、本来のDNSの値の相談先です。プロバイダから借りている機器は、まずプロバイダへ。
- IPA「情報セキュリティ安心相談窓口」:03-5978-7509、10時〜17時(土日祝日・年末年始を除く)。ウイルスや不正アクセスの一般的な技術相談の窓口です。
- 警察:被害届は最寄りの警察署へ。警察庁のサイトから、e-Gov電子申請で「サイバー事案に関する通報等」をオンラインで送ることもできます。
- JPCERT/CC(会社・団体の場合):インシデント対応の依頼をWebフォームかメールで受け付けています。電話での報告は原則受け付けていません。
14よくある質問
電源を抜いて入れ直せば直るでしょ?
書き換えられた設定は残ります。初期化して、ファームウェアを最新にし、管理用パスワードを変えてください。
QWi-Fiのパスワードを変えれば、乗っ取りは直りますか?
直りません。Wi-Fiにつなぐためのパスワードと、ルーターの設定を変えるための管理用パスワードは別物です(NOTICE)。警察庁は、一度設定を変えられると従来の対策だけでは不正な状態が解消されないとして、覚えのない設定があれば初期化、ファームウェアの更新、機器のパスワードの変更の順で直すよう求めています。
Qルーターの電源を入れ直せば、元に戻りますか?
戻らないと考えてください。いまのルーターは、電源が切れても設定やファームウェアが初期に戻らないことが技術基準で求められています(NOTICE)。書き換えられた設定も残ります。戻すには、管理画面かボタンで「初期化」をします。
Qプロバイダから借りているルーターでも、自分で確かめる必要がありますか?
あります。NOTICEは、ルーターの設置者には、パスワードの設定やファームウェアの更新などの機能を使って乗っ取りを防ぐことが期待されているとしています。どこまで自分で設定してよいか、ファームウェアが自動で更新されるかは、プロバイダの案内で確かめてください。
QNOTICEの注意喚起メールが本物か分かりません。
契約しているプロバイダから届いたものかを確かめます。プロバイダ以外からNOTICEを名乗る連絡は詐欺のおそれがある、とNOTICEは書いています。メールのリンクは押さず、NOTICEサポートセンターかプロバイダの公式の窓口に、自分で調べた番号で問い合わせると安心です。
Qうちのルーターのサポートが終わっているか、どう調べますか?
本体の型番を控えて、メーカーのサポート状況の一覧で探します。NECプラットフォームズは、終わる約1年前に一覧へ終了の年月を書き足すとしています。NOTICEの「IoT機器メーカー サポート情報」のページから、主なメーカーの一覧に進めます。
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出典(一次資料)20件被害を受けた組織や公的機関の発表だけを出典にしています(2026.10.31に確認)開く
- 1警察庁「家庭用ルーターの不正利用に関する注意喚起について」(2023年3月28日) ↗www.npa.go.jp
- 2警察庁「サイバー犯罪の相談窓口」 ↗www.npa.go.jp
- 3総務省「無線LAN(Wi-Fi)の安全な利用(セキュリティ確保)について」 ↗www.soumu.go.jp
- 4総務省「IoT機器のセキュリティ向上を推進する新しい「NOTICE」を開始」(2024年3月29日) ↗www.soumu.go.jp
- 5総務省「IoT機器調査及び利用者への注意喚起の取組「NOTICE」の実施」(2019年2月1日) ↗www.soumu.go.jp
- 6NOTICE「ルーター / ネットワークカメラに潜むリスク」 ↗notice.go.jp
- 7NOTICE「ルーター / ネットワークカメラの安全な管理方法」 ↗notice.go.jp
- 8NOTICE「ルーター / ネットワークカメラに関する制度・基準」 ↗notice.go.jp
- 9NOTICE「ルーターの役割」 ↗notice.go.jp
- 10NOTICE「IoT機器メーカー サポート情報」 ↗notice.go.jp
- 11NOTICE「最近の観測状況」(2026年8月時点) ↗notice.go.jp
- 12NOTICE「FAQ」 ↗notice.go.jp
- 13NOTICE「注意喚起を受けた方へ」 ↗notice.go.jp
- 14JPCERT/CC「インターネットに接続された機器の管理に関する注意喚起」(2016年12月21日) ↗www.jpcert.or.jp
- 15JPCERT/CC「インシデント対応依頼」 ↗www.jpcert.or.jp
- 16IPA「セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度(JC-STAR)」 ↗www.ipa.go.jp
- 17IPA「情報セキュリティ安心相談窓口」 ↗www.ipa.go.jp
- 18
- 19バッファロー「サポート期間のご案内」 ↗www.buffalo.jp
- 20NECプラットフォームズ「Atermのサポート期間について」 ↗www.aterm.jp

